再来週には東京のイベントがあるのですね。
ゲーム制作や文字書きに時間を取られているので、正直なところ以前程は行きたい気持ちがなくなってきました。
新幹線の往復で2万円くらいするし……ぱっと行ってぱっと帰ってきちゃおうかな、とも思います。当初は泊まりがけで行こうとすら思っていたのですけれど。
気持ちが移ろいやすくて自分でもこんなんでいいのかと自問する日々です。
更新できないので練習がてら書いていたものを続きに入れておきます。
なかなか文章が進まないのは、無意識に原作みたいな雰囲気で書こうとしているからなんだろうなぁ、ともう少し気軽に書けそうな一人称で書いてみました。
パラレルで二人が出来上がった後で初めての夜、みたいな感じです。色々とすっ飛ばしているので、順を追ってストーリーを読みたい方にはお勧めできません。
しかし気軽さを優先したためかどうにも色っぽくならないので途中で終わりました。
本編に組み込むのか続きを書くかもよく分からないシロモノですけれど、興味のある方はどうぞ。
何もつけていない足の間を見られていると思うと恥ずかしくてたまらなくて、抵抗するように固く足を閉じた。
見ないで欲しいという意思表示であると分かっているはずなのに、兄は容赦がない。
「ひゃっ!」
膝をペロリと舐められて、びっくりした拍子に足の力が抜けた。
その隙に大きな手の平が膝を掴むと、あっさりと大きく開かせた。
必要以上に開かされた気がして、今度は両手で隠してみる。
無駄だと分かってはいても、兄のきれいな両目の前に無心で晒していられるわけもなかった。
そんな些細な抵抗など兄はものともしないのだけれど。
片手だけ取られて、端正な顔の前に持っていかれたかと思うと、神聖な儀式のように口付けられた。
こんな時なのにそれは映画のワンシーンのように見えて見とれてしまう。
兄はどんな時も絵になる人だった。
その秀麗な顔に釘付けになっている間に、僕の中心は彼の手に包まれていた。
ペロリと先端を舐められると、すぐに全身の血が沸騰したように熱くなった。
刺激されれば快楽も滲むけれど、それよりも何よりも恥ずかしいのが先に立つ。
ぱくりと口中に放り込まれているのを黙ってみているしか出来なくて、どうしたらいいのか分からなくて変な声が出そうになるのだけ必死で押し止めていた。
滑らかな舌が性感を高めるためだけの動きで這いまわる。
兄と以外の経験を持たない僕は、どうしようもなく翻弄された。
あっという間に追い上げられてしまって、ますます僕は焦った。
兄の綺麗な顔を僕の汚いもので汚すわけにはいかなかった。
だけど堪えようとするその瞬間ですら愛撫の手は止まない。
「やめ…っ! やめ、て……っ!」
上がった吐息に邪魔されながらも必死で兄を止めようとした。
お願いだから離れて欲しい。
こんなに切実な願いもそうそうないというのに、兄はちっとも僕の言うことなんか聞いてくれなかった。
僕自身のための我侭なんじゃなくって、兄のために言っているのに。
「にいさん……!」
必死で呼びかけたためか、ようやく兄は顔を上げた。
これでようやく、と思ったら、根元をきつく握られ、出口を指で塞がれた。
「お前な。我慢なんてする必要ないんだぞ」
そんなことを言うなら手を離してほしい。
「だ…って、……その、かかっちゃうよ……」
こういうことを言うのだって恥ずかしいのに。
僕のとか……で、口元を濡らした彼とまともに顔を合わせられなくて、彷徨った視線は無意味にシーツの皺をなぞっていた。
「そんなことくらいで恥ずかしがっていてどうする。もっと恥ずかしいことをするのに」
直接的な言葉に羞恥心が一気に刺激されて、僕はぎゅうっと目を閉じた。
だめだ。もう、限界だと思う。これ以上こんなことをされては僕の心臓がもたない。
今すぐこの場から逃げ出してクローゼットの中で一晩過ごしたいくらいなのに、哀しいかな僕の一番大事な所が兄の手中とあってはそんなことはできない。切り離すなんてもってのほかの部位だ。
「あう…もう無理。恥ずかしすぎるもん……」
「大体何がそんなに恥ずかしいんだ。まだ序の口だろう。
バスルームで洗ってやったこともあるのに、今更何を恥ずかしがる必要があるというんだ」
そりゃ……洗ってもらったこともあるけどさ……。
一緒にお風呂に入っているんだと思えば……思えるか!
身体を洗ってもらうときにそんな場所をマジマジと見られたことなんてないし、そんなところ咥えられたことなんてない。
兄にもこの気持を味わわせようと、兄のを咥えてやろうかと思ったけれど、そんな破廉恥な発想をしたと思われることを考えただけで脳が沸きそうだった。
どうして僕だけこんなに恥ずかしい思いをしなくちゃならないんだ……不公平すぎる。
「おれしか見ていないのだから、そう固くならんでいい」
好きな相手にあられもない姿を見せることになるから渋っているのに、まったく伝わらないらしい。
もちろん兄でないただの通行人になら見せられるとかそういう問題ではない。
ただでさえ成熟した彼に対して未成熟な自分の体を見られるのだって恥ずかしいというのに。
そもそも彼は自分がどれだけ他者のコンプレックスを刺激する存在なのか、考えたこともないに違いなかった。
軍で鍛えている兄の身体は男からしても見とれるほどかっこいい。
欲目を抜いても、しなやかで綺麗な筋肉の付き方をしていて、色気のある肉体だと思う。
手足も長いし、兄のような身体ならいくらでも見せつけられるのだろう。
一方僕の方はまだ授業でいくらか鍛えただけの、筋肉の乏しい貧相な体つきだ。
さらに今は丸出しにされているそこも、成熟しきったものとはいえなかった。
そしてその恥ずかしい部分をずっと握られているのがどうにも落ち着かなくてもぞもぞと控えめに動かしてみる。
すると兄もその動きに気づいたようだった。
「ああ。悪かった。もう我慢しないでいいからな」
全然わかってない!と憤慨する暇もなかった。
ちゅっと音を立てて先端が吸われたかと思うと、敏感なところばかりに舌が押し当てられて我慢することも出来ずに僕は精を吐き出した。
……兄の口の中に。
勢い良く出てしまったために、兄の口からわずかに白い液体がこぼれている。
受け止められた分はきっと、飲まれてしまったのだろう。
「~~~っ」
恥ずかしさに耐え切れず、彼が口元を拭っている間にシーツに潜り込んだ。
体温が篭るのと、赤くなった頬で余計に暑く感じながら、死にたくなるほどの羞恥にシーツの中でさらに腕で顔を覆っていた。
そして丸まったまま出来るだけ兄と距離を取ろうとする。とはいえベッドの上のことなので大して逃げられはしないのだけれど
、そうせずにはいられなかった。
案の定すぐさまシーツ越しに捕まってしまう。
「おい。まだ寝るには早いだろう」
そんなわけない。こんな状況に至る前に確認した時は、後もう少しで日付が変わるくらいの時間だった。
もう深夜といってもいいくらいだ。
昔はこのくらいの時間になると、子どもは寝る時間だと言ってお話したりない僕を何度ベッドに連れていったことか。
いっそこのまま寝たふりをして逃げてしまおうかとも思ったが、腰を掴まれて足元からシーツがめくられるとそうも言っていられなくなった。
今きっと兄の視界には僕の何もつけていない下半身が映っているのだろう。
それを思い浮かべるだけで顔から火が出る思いだった。
慌ててシーツから抜けだした僕は、もう一度腰から下をシーツで覆った。
「なんだ。恥ずかしいならそのままシーツを被っていてもいいんだぞ」
そんな場所に何かされているのに何も見えないほうがよほど恥ずかしいのだと分かっているはずなのに、そんなことをあえて言うのだ。この兄は。
なんて意地悪な人なんだろう。でもそんなこととっくに分かりきっているのに、そんな意地悪な人を好きになってしまった時点で僕の負けなのだろうか……。
僕がシーツに潜っていた間に取り出していたのか、いつの間にか兄の手の中には何かのチューブがあった。
「なぁに? それ」
「これか?」
兄は嗅いでみろ、と既にキャップが外されていたその先を僕の顔の前に向けた。
言われるままくん、と嗅いでみると、何かの果実か花のような香りがした。
「わぁ。甘くていいにおーい」
匂いで僕の緊張をほぐすために用意してくれたのだろうか。
冷たくて意地悪だけど、やっぱり優しい兄だから大好きなんだ。
チューブを一旦置いて、兄は僕を両手で抱えようとする。
そうされるとつい長年の習慣で、僕は両腕を兄の首に回してしまう。
それは間違っていなかったようで、そのまま僕が彼の膝の上に乗ると、一度だけ頭を撫でてくれた。
恥ずかしがる僕を気遣ってか、シーツは腰にまとわりつかせたままにしてくれた。
シーツの中で直に兄の手が腰に置かれているのが気になりながらも、どかそうとするのも意識しすぎている気がしてそのままにしておいた。
兄はもう一度チューブを手に取った。
「それどうするの?」
「今から使う」
「どうやって?」
「こうやって」
信じられない場所にひんやりとした感触が伝った。
「ひゃぁ!」
信じられないとは言っても、男同士の場合はそこを……っといった知識は僕にもあった。
ただ自分の身に起こるとするとまた頭で理解しているのとは違った驚きがある。
ほぐすのは僕の緊張なんかじゃなかった……。
「あの……やっぱり、痛いんだよね……?」
「それはまぁ、多少はそうだろうな」
率直すぎる意見に硬直してしまった。
普通はこういうとき、「痛くしない」とかなんとか言うのではないだろうか。
するとそれに気づいたのか、兄はぽんぽんとまたしても頭を撫でた。
「そんなに固くならなくてもいい。痛みを和らげるために、こういうのを使うのだからな。
それになるべくゆっくりしてやる」
率直に「多少は痛い」と言うような兄がそう言うなら、きっと最大限痛くないよう気を使ってくれるのだろう。
そう思って大きく息をついたのに、彼は一言多いのだ。
「まぁ、あまり辛いようならそう言え」
<おしまい>